Because〜オノ・ヨーコが弾くベートーヴェンの「月光」からインスピレーションを得たジョンの美しいバラード

世界が丸いから

ぼくはゾクゾクする

世界が丸いから

風が強いから

ぼくの心はさらわれていく

風が強いから

(The Beatles“Because” ゾリラバ訳)

 

とてつもなく美しい9声コーラスと、シンプルで詩的な歌詞が印象的な名曲“BECAUSE”。

ビートルズの11番目の公式アルバム“アビーロード”に収録された後期の傑作ですね。

歌詞のシンプルな力強さ

It turns me onという歌詞には、ちょっと大人な意味があることを知ったのは、まさに大人になってからでした。

でも、英語の意味が充分に理解できなかった中学生当時でも、この曲を聴くたびに、なぜかゾクゾクしていたことを思い出します。

 

Love is old, love is new

Love is all, love is you

 

この上なくシンプルで力強いメッセージながら、口ずさめばうっとりするような韻を踏んでいるところも素敵です。

メロディがもたらす恍惚感

この曲を作ったジョン・レノンは、パートナーのオノ・ヨーコがピアノでベートーヴェンの「月光」を弾くのを聴いて、「逆さに弾いてみて」と頼み、そこからインスピレーションを得たと言われます。

このエピソードを初めて聞いた時、「逆さに弾く」という意味が良くわからなかったのですが(今でもあまり良くわかってないかも)、要はコード進行が逆さまということのようですね。

実際、“Because”のAメロのコード進行は、C♯mからD♯m7、G♯7へと進みます。

更にAを経て、C♯m、A7、D、Ddimと流れていくという、とても独創的で不思議なもの。

そのせいか、聴いていると、心が洗われるような美しさがありながら、同時に心がざわざわさせられます。

まるで人間の本質を問いかけられているような。

 

そもそもベートーヴェンの曲を逆さにするという発想が生まれること自体、天才的ですね。

まさに「逆転の発想」(笑)

“月光”から着想を得て“Because”という美しいバラードが生まれたのは、何世紀も隔てて天才から天才へのバトンが渡されたかのようです。

難易度高めのコーラス

ジョン、ポール、ジョージの3人の声を3回重ねて録音することによって生まれた重層感あるコーラス。

ライブで再現することはなかなか難しいせいか、ビートルズセッションで演奏したり、トリビュートバンドが演奏するのを生で聴いたりする機会は稀です。

でもビートルズの楽曲をカバーしてはしゃいでいるゾリラバとしては、一度はこの美しいハーモニーのコーラスに挑戦してみたい。

3人の息がぴったり合ってコーラスが決まった時、きっとえも言われぬ恍惚感に浸れるのではないかしら。